個別指導塾の講師をしているものです。
かつては精神保健福祉士として、障害者のグループホームで働いていたこともあり、現在の講師業においても、生きづらそうな児童を見かければ、福祉的視点で対応することもしばしばあります。
生きづらさは児童に限ったことではもちろんありませんが、少子高齢化や地域に見守りの資源がだんだんと少なってきている現在を考えれば、育っていく環境は過酷といえるかも知れません。
小学校高学年の女子児童を受け持ったときの話です。
一年ほど前から不登校状態になり学習の遅れを心配した親御さんが個別指導教室にお子さんを通わることになったのがかかわりのきっかけです。
親御さんの話によると、同級生のいじめをきっかけに不登校がはじまったとのことですが、親御さん、特に母親のこだわりの強さ、しつけの厳しさには目に余るものがあり、少なからず娘さんはプレッシャーを感じているのではないかと思いました。
お子さんの将来のことなのでと、親御さんと娘さん本人に了解をとり、学校の元の担任と通っている児童精神科医のソーシャルワーカーに連絡をとり、意見交換をしたのですが、やはり母親の言動が強く娘さんに影響を与えているのではないかとのでした。
娘さん本人は、塾で母親のことを悪くいうことはないのですが、腕には確かにリストカットのあともありました。
子どもの不調は家庭にももちろん病理があると考えられることから、娘さんの心のケアは、ソーシャルワーカーが担当し、母親のケアは、月に2回ほど私が時間をつくって母親に話をきくことにしました。
もちろん、指導というものではなくあくまで傾聴を心がけました。
話を伺っているいるうちに、母親自身も厳しい教育を受けてきたこと、自身は専業主婦であり どうしても子どものことだけが気になってしまうこと、自分自身はそれほど厳しくしているつもりはないこと、配偶者との関係がうまくいっていないことなどを丁寧に聴き取っていきました。
一朝一夕に状況が改善するわけではありませんが、児童やその両親をあたたかく見守るチームが重要なのだなと思いました。
個別指導塾の講師としての職分を逸脱しているかもわからないですが、このような対応が必要な家庭が多くあるとの印象をもっています。
りら
ここからは管理人が書いています。
精神保健福祉士という資格を初めて聞き、調べました。
精神保健福祉士とは、1997年に誕生した精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの国家資格です。
精神保健福祉士は、精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)という名称で1950年代より精神科医療機関を中心に医療チームの一員として導入された歴史のある専門職です。社会福祉学を学問的基盤として、精神障害者の抱える生活問題や社会問題の解決のための援助や、社会参加に向けての支援活動を通して、その人らしいライフスタイルの獲得を目標としています。
心の病、精神障害のサポートの資格です。
こんな資格を持った方が先生だったら心強いですね。
勉強以外の面、学校とソーシャルワーカーとの連携、そこまでの対応に驚きました。
そこまでしてくれる塾の先生、素晴らしいと思いました。
こんな風に話を聞いてほしいです。
子供が不登校となってから、自身の生い立ち、今までの子育てを振り返りました。
私も厳しく育てられ、主婦となり 子供中心となりました。
プレッシャーを与えたと思います。
学校だけではなく、家庭のことも絡んでいる。
そして、不登校となると 子供だけではなく、親も苦しみます。
それがさらに悪循環となります。
親から変わらなければいけない。試行錯誤でここまで来ました。
おっしゃるように、子供と親の両方をケアしてくれるようなシステムがあったらと思います。
また、最初に今の子供たちの生きづらさについて触れています。
私たちの子供の頃の学校と どこが変わったんだろうと考えてきました。
学校だけではなく、取り巻く環境も変わっていますね。
地域との関わりが減り、家庭と学校の繋がりだけになってきている。
閉鎖的な世の中になったことも関係あると思いました。
りら
とても貴重な経験をお話しくださり、ありがとうございました。
