私には忘れられない出来事があります。
中学に入ってすぐのことです。
きっかけは、その子があることをした時、クラスが好意的な笑いに包まれたことでした。
ここで終われば良かったのですが、繰り返しそれをするようになりました。
最初は好意的だった笑いがだんだん減っていき、最後は冷たい空気が流れるようになりました。
そして、最後の最後には、きつい性格の男の子がクラスの真ん中で響き渡るような声で「おまえ、しつけぇんだよ。きもいんだよ。」と言いました。
その子は多分どうしたらいいのか分からなくなって、ごにょごにょ言っていましたがそれで終わり、その翌日からその子は学校に来なくなりました。
先生は当時、その子がいる班の班長だった私に、その子の家に毎日プリント類とメッセージを届けに行って欲しいと言いました。
最初の頃はピンポンを鳴らすと、お母さんが出てポストに入れてくださいと言われてそうしていたのですが、次第に出てくれなくなり、ただ届け物をポストにだけ入れて帰る日が続きました。
席替えがあって班が変わっても、先生がお願いというので、雨の日も、風の日も、続けました。
とある日、また同じことをしようとすると、インターホンのところからその子のお母さんの金切り声が聞こえました。
もうやめて的な内容でした。
翌日、先生にそのことを伝えると、もう行かないで良いと言われました。
今、教師の立場も経験し、親にもなり、当時の4つの立場(教師、親、不登校になった友達、クラスメイト)のうち、3つを経験してみると、どの立場の人にも少しずつミスがあったことが分かります。
教師の立場から言えば、不登校になる前に彼に一言あって良かった、きつい性格の男子に指導があって良かった、不登校の子がクラスにいることに対して意地になることはなかった。
親の立場から言えば、止めて欲しいのならやめて欲しいと先生なり私なりに普通に言えば良かった、親が感情的になることで子供と学校と友達の間の細い糸が切れてしまった。
クラスメイトの立場から言えば、それ、もうやめた方がいいと言っても良かった、フォローしてあげても良かった。
不登校の解決法は、正解は1つではありません。
1つの実例として、何かの参考になれば良いと思っています。