私は予備校でチューター、講師の事務補助をしながら、進路面談や質問対応をしていました。
その際、不登校生と接する機会が良くありました。
というのも、私自身高校に通わなかった時期があり、それを耳にした生徒達が、人気な講師やチューターを避けて私に質問をしに来ていました。
今思えば、残念な経歴を隠さない、ある種同類に見える私の方が接しやすかったのでしょう。
彼らの性格は千差万別でしたが、厄介な共通点がありました。皆模試嫌いなのです。
誰かと比較され、「ダメな自分」を突き付けられる模試が大嫌いでした。
そんな彼らを上手く説得して試験を受けさせるのに手をやきました。
ではどうしたか?
採点の仕方に一工夫いれました。当時、100%方式と名付けた方法です。
一旦、偏差値や正答率の計上はせず、1人でテストを受けさせます。
その後私が採点して、あるお願いをしたのです。
「間違えた問題の内、自力で解けた問題と絶対解けなかった問題を仕分けして」とこの問いをして、例えば間違いが10個で凡ミスは0個、他10個なら実力は100%発揮出来ていた。と誉めてあげるのです。
例え30/100点でも、100%を発揮出来ていれば、とにかく手放しで誉めていました。
つまり、模試を偏差値という他者との比較ではなく、自身の実力が何%出せたか?という比較に置き換えたのです。
不登校ながら、勉強をしに来た子達ですから、やる気はあります。
でも、人と比べられるのは……そう言った子に自信を付けさせるのが狙いでした。
彼らとしては、点数が低くともチューターに誉められるのは嬉しい様子を見せてくれます。
そうすると、次は「じゃあ次は120%を目指そう。出来そうな問題ある?」と復習にやる気をださせるのです。
こうして、数ヶ月程した後に、再度同じ模試を受けさせると 当然ですが、点数は上がります。
そして、「前と比べて100%上昇、2倍だよ!!」と過去の自分からの飛躍を誉めてあげるのです。
そうして、最後まで予備校に来てくれた生徒は納得のいく進路に進んでくれました。
勉強は点数をつける関係上、どうしても、他者との比較になります。
学校を嫌悪する子達には、それがストレスで仕方ない。と私には見えました。
そんな彼らが、他者と比較せず、自身の力で、点数を上げていく快感を味わえれば……と考えた褒め方です。
質問者様とお子さまの力に慣れたか分かりませんが、私自身を含めて不登校時代を含めて、今社会に出た学生は大勢います。
お子さまの今後の栄進に少しでもお力になれたのなら幸いです。
りら
ここからは管理人が書いています。
不登校の経験者でもあり、予備校のチューターをしていた方の体験談です。
子供の指導方法が参考になります。とても詳しく書かれています。
不登校から、今度は不登校児と接する職業に就かれた方は子供にとって心強く話しやすい存在です。
模試が嫌い・・。なんでだろう?と最初思いました。
そもそも、定期テストがプレッシャーですよね。
学校に行っていない子はテストはどうしようと悩みます。
他の子は頑張ってると比較されることを嫌うのはわかります。
過去の自分との比較、それを具体的に数字として伝えて褒める。
自己肯定感を高める方法ですね。
勉強だけではなく、他の場面でも応用できると思いました。
最後に言ってくださった、社会に出て行った学生は大勢いる。
不登校経験者の方の言葉は希望となります。
りら
とても貴重な経験をお話しくださり、ありがとうございました。
